scenario03

Chapter3 The Castle of Tears

 

【???】
「おやおや……どういうことだろうね、これは」

有純が振り向くとそこには一人の男が立っていた。

派手な身なりをしているが、ジャック達のような堅苦しい雰囲気は感じられない。

軽い立ち方と微笑みは軽薄そうにすら見える。

それでも男からは圧倒的な存在感を感じた。

【???】
「迎えに来たよ、アリス。私のかわいい子供」

男は有純に向かって微笑む。

【D】
「「王様!」」

Dは王と呼ばれた男を見ると、有純を守るように腕の力を強くする。
まるで警戒しているようだった。

【王】
「D、いけないな。候補者はアリスに無理強いをしてはだめだ。教わらなかったかな?」

【D】
「無理強いじゃない」

【D】
「アリスは何も覚えてないんだ」

【D】
「僕たちのこと、教えてあげてただけ」

Dは有純に抱きつくようにしながらも、しかられた子供のように王から目をそらす。

王はDを無視して有純に手を差し出した。

【王】
「よく来たね、アリス。君が来るのをずっと待っていたよ」

【有純】
「あの……」

【D】
「アリス」

【D】
「だめだよ」

有純が王にむかって口を開く前にDが止める。

【王】
「D、最初にアリスと話す権利は城にある。いくらお前達だろうとそれは譲れないよ」

言い聞かせる王にDは納得いかない風だった。

【D】
「だって」

【D】
「嫌だ」

【王】
「なに、お前達だってアリスが昔を忘れているのはつらいだろう。思い出してもらうために、城で話をするだけだよ」

王はやんわりと、しかし有無を言わせない動作でDから有純を離す。

そのまま右手を差し出し、見えない何かを押すような動きをした。

陶器が割れたような音がすると、しばらくして森の奥からジャックとトランプ兵達が姿を現す。

【ジャック】
「王……」

【王】
「してやられたな」

【ジャック】
「……申し訳ありません」

ジャックは王の前に膝をつくと深々と頭を下げる。

王はそんなジャックに何を言うでもなく、再び有純に向き直った。

【王】
「さてアリス、城に来てくれるね?」

PAGE TOP